2012年5月19日 (土)

森を見て木を見ず

先週夫が突然帰って来てしばらく休養し、ついでに畑を耕してくれました。
まだ肩から腕にかけて痛みの残っている私は内心で思わずラッキー!と叫びましたが、これでまた耕運機操作の習得の機会を逃してしまいました。
まぁ、また冬野菜を植えるときにチャンスが巡ってくるので、今年中には何とか習得しましょう。
周囲の畑も田んぼもすべてきれいに耕されて、あとは植えるのを待つだけです。
ここのところ寒い日が多く霜注意報も出るので、植え付けはいつもより少し遅くなるかも知れません。
その間に土を整えますが、今年は薪ストーブの灰を畑に撒かないようにとの通達が出ました。
うちの薪は福島産じゃないんですけど…。昨年夏ごろの栃木産、う~んやっぱりだめか…。
灰はいろいろと利用価値があるんですけどね。ま、今年は雪の下でじっくりと熟成された堆肥と米ぬかを使って野菜作りをすることにしましょう。

IMG_5011.JPG
                            家の裏の畑
畑を一通り見まわった後に奥に続いている林に入ってみました。
もうカタクリの花は終わりに近く、小さな緑の実を付けています。
傍らには綿毛に覆われたゼンマイが顔を出しています。よく目を凝らすとそこかしこににょきにょきという感じで生えてきています。
去年は全く気がつかなかったのに、今年はゼンマイの豊作かしら。
右手の方に進むと落ち葉を突き破るようにして、イタドリやトリアシが伸びてきています。
         ゼンマイ                                  トリアシ
 
 
IMG_5016.JPG IMG_5019.JPG







                                       
                                      
                                          
                                       
                                       
                                       
  





       
林の中を歩きながら、子供の頃祖母に連れられ山菜取りをしたことを思い起こしました。
祖母はとても植物が好きな人だった。家の周りは四季を通して花で溢れていたっけ。
山に行く時はいつもお弁当持参で、1日がかりで祖母は私に草木の一つ一つを説明してくれました。
例えば「鶏の足をさかさまにしたような形だからトリアシと言うんだよ。」というふうに。(正確にはトリアシショウマですが。)
最晩年、寝たきりになって95歳でこの世を去った祖母はベッドの上で懐かしむように大沢(私が生まれ育った場所)の山々のことを語っていました。
夫は私と出会って初めて山に行った時に、私がいろいろと植物のことを知っているのに感心していましたが、これもひとえに祖母の教育のお蔭です。
林の中はシーンとして、時々鳥の飛び立つ音が聞こえる程度。
かつてはここは猿たちの遊び場で、大きな栗の木の枝にぶら下がりながらキャッキャッとはしゃいでいる声が家の中にいても聞こえてきました。
もう姿を見なくなって2年になるけど、どこへ行ったというのでしょう。やっぱりいないと淋しいな。
歩いているうちに意識は日常を抜け出して、何か瞑想でもしているような状態になってきました。(動禅というのでしょうか)
よく見ると木々の一つ一つに表情があり、息づいているのが感じ取れます。杉も今まで同じように見えていたけれど、1本1本個性があって全然違っているのに気が付きました。
急に全ての木々、そして下に生えている植物たちが愛おしいという思いがこみあげてきました。
この山はそんなに高くない山だ、我が家の方向の北斜面の木はおそらく1万本に満たないに違いない、その1本1本に名前をつけてこれから何十年生きるかわからないけれど毎日語りかけたい、そんな思いにも駆られました。
「木を見て森を見ず」とはよく言われる言葉ですが、私の場合は森を見てわかったようなつもりになっていて、木の一つ一つまで目を届かせることをしていなかったのです。
「森を見て木を見ず」一見かっこよく響きますが、あるマーケティング・マネージャーのこの一言に私の自負心は見事に打ち砕かれました。
「しかし木を見ることができないのに森を見ることができる人は、私の限られた経験ではお目にかかったことはありません。まずは木をしっかり見ることができることが最初。それを積み重ねることで森が見えてくる、ということなのでしょうね。」
結局私は何も見ていなかった、ただぼんやりと眺めていただけだったということです。
それはこれまでの私の生きる姿勢そのものだったのです。
また一から始めなければなりません。これがここに移り住んで5年目に私が得た成果です。

 
      裏山は頂上まで15分ぐらい                        猿たちが遊んだ栗の木           
          IMG_5027.JPG
        
IMG_5002.JPG




                                      
                                        
                                       

                                                                
                                                                                            



                                                                                   
                                                                                              

2012年5月17日 (木)

山菜のシーズン到来

朝早くに裏の林の奥の方で何やらにぎやかな声がしています。
何だろうと目を凝らすとちらほら連れ立って歩いている人の姿が見えます。
どうやら山菜取りをしている様子、30分もすると皆収穫物でいっぱいになった袋を下げて家の前を通り過ぎ、ホテル湯ら里の方に入って行きました。
10人以上はいたでしょうか、女性だけの集団で、よく見るときえさんが中に入って案内していました。
きえさんはあちこちで引っ張りだこですねぇ。なにしろ山菜取りの名人ですから。
きえさんはこの土地のあらゆることに精通していて知識も豊富ですから、ネイチャーガイドなんかピッタリかも知れない。
あ~、でもこれから畑の方が忙しくなるからそれはちょっと無理か・・・。
それにしても湯ら里は最近積極的に色々な企画を打ち出しています。
昨年の震災、それに続く風評被害、加えて豪雨災害で宿泊客が激減し、経営状態が悪化して、町議会でもそのことが取り上げられていました。
その状況を打開するべく今年から女性の支配人が登用され、経営改善に向けて皆一丸となって頑張っている様子が、傍に暮らす私達にも伝わってきます。
最近夜に湯ら里の方を見ると、いつも殆んどの部屋に明かりが灯っていて、それを見るとほっとします。(シーズン中ということもあるのでしょうが。)
ちなみに今度の日曜は宿泊者優先で「田植え体験」が企画されています。
すぐ近くの田んぼということなので、家の前に広がるいずれかの田んぼになることでしょう。

いよいよ本格的な山菜シーズンの到来です。
今只見は“こごみ”が旬を迎えています。
先日きえさんが裏山から採ってきて届けてくださったこごみは道の駅にも売っていないような立派なものでした。
私が感嘆の声を上げると「深沢(わが集落の名前)のこごみは只見でも特別なの。」と自慢げでした。
そういえば引っ越してきた時にいただいたわらびもそれまで見たこともないまっすぐで太くて柔らかいものだった。きっと山全体が豊かなのでしょう。
裏山の裏側にきえさんが毎年こごみを採りに行く場所があって、行ってみたら水害で道路が壊されて見えているのに採れなかった、それが悔しいと嘆いていました。
さっそくその日はごま和えにしていただき、翌日は天ぷら、次の日はマヨネーズと醤油で和えました。肉厚で本当においしい!
IMG_4942.JPG

きえさんは人にあげる前に必ず放射能測定をしてもらってから届けるようにしているとのことでした。
これからは山のものにしても、農作物にしても全てにそのような配慮が必要ということですね。
そういえば、栃木県ではさくら市で山菜の女王といわれるコシアブラからセシウムが検出されて出荷停止になり、那須塩原市でこごみが出荷自粛になっています。只見は山ひとつ越えるお蔭でしょうか、山菜は今のところ不検出です。
私はたぶん大丈夫だろうぐらいの気持ちですでに何種類かの山菜をいただいてしまいました。
まずふきのとう、ヨモギ(ほとんど野草)、それからタラの芽、さんしょう、うるい、そしてカタクリ。
裏の林に群生しているカタクリは去年の倍ぐらいに増えていて、何年かすればカタクリ公園にでもなりそうな勢いです。
それを両手にいっぱい摘んできて、余りの美しさにすぐ食べるのはしのびなく1~2日花を楽しんでから食します。
卵とじがカタクリ独特の甘みが出て一番おいしく感じますが、今年はあえて酢の物に挑戦してみました。
花びらが鮮やかなピンクから紫に変わり、さわやかな1品になりました。

IMG_4944.JPGIMG_4994.JPG









それにしても暮らしにくい世の中になったものです。
何も考えず自由奔放に野山に分け入り、好きなだけ草や木の実を摘んでいた時代が懐かしい!
只見はこれから6月いっぱいまで山菜シーズンが続きます。
ワラビ、ゼンマイ、ヤマウド、ミズナ、タラノメ、フキ、コシアブラ。これらは代表的な山菜ですが、山に入れば殆んどの植物は食用として活用することができます。
山菜を食し始めそのほろ苦さに舌が慣れてくると、スーパーで売っている野菜は味気なく感じあまり欲しくなくなります。
それほどに山菜の生命力は強く人の体に活力を与えてくれます。
頭の片隅に時々放射能のことを思い起こしながら、季節の移り変わりとともに次々と自生してくる山菜を心ゆくまで楽しみたいと思っている私です。

2012年5月12日 (土)

冬を越えた野菜たち

ここ2~3日季節が逆戻りしたかのような寒い日々が続いています。
只見は殊に今日は肌を刺すような冷たい風が吹き、最高気温は10℃でした。(明日の朝は0℃迄下がるもよう)
せっかくほころび始めた遅咲きの桜も咲くのを止めてしまいました。
この間に家の中の整備は何とか片が付きました。
年末にするはずだった大掃除を時期をずらして行ったような気分です。
障子もすっかり貼り終えました。
客間はこんな感じに仕上がりました。
                                          
IMG_4912.JPG
IMG_4913.JPG








確かに華やかさというか、愛らしさが加味されましたが、桜のはなびらが細か過ぎて、う~んいまいちですねぇ。(桜吹雪の感じは出ていますが・・・。) 
なにしろ、晴れの日は逆光ではなびらが黒っぽく見え、それがちょうど今の時期はカメムシがとまっているように見えるんですの。まあ、それが難点ですね。
でも、外が明るんで障子の白さが浮き立ち始める明け方から陽が射すまでの時間、そして夜はピンクのはなびら達が踊っているようでとっても素敵なんです。
よろしかったらどうぞ遊びにいらしてください。
       
                       

家のことが終わったと思ったら息つく間もなく、そろそろ畑に取りかからねばなりません。
隣の英雄さんはもうきれいに耕しを終えている、私も急がねば・・・。
去年は近所の敏さんが大方機械で耕してくれ、残りは夫が耕運機で耕しましたが、今年は私一人で全てやらねばなりません。
耕運機にも初挑戦です。
雪が解けて黒い土から最初に頭をもたげたのはパセリでした。
雪の下で凍ってしまってとうに朽ちていると思っていたのに、その青々とした元気な葉を見た時には本当に感動してしまいました。
さっそくその日の内にスープに浮かべて香りを楽しみました。
よく見ると畑の所々に冬を越えた野菜たちの姿が見えます。
雨や太陽を享けて驚くほどの早さで生育していきます。その生命力には全く圧倒されます。
 
      パセリ                                レタス もう巻き始めている
IMG_4973.JPGIMG_4969.JPG









   
  ケール                               白菜 もう巻かないので種をとる予定
IMG_4972.JPGIMG_4916.JPG











葉菜類は本当に逞しい。それなのに玉ねぎクンときたら・・・。
昨年秋、移動販売のおじさんにすすめられて80本ほどの玉ねぎの苗を植えました。
我が家は結構よその家よりも玉ねぎの消費量が多いと思っているので、自家栽培できるなんて嬉しいと収穫の時を思い浮かべながらせっせと植えました。冬の間寒くないようにと、おじさんに教わった通りにポリマルチもしっかりかけて。
雪が降る前に確認した時には葉も伸びてしっかり根付いていました。
雪が解けたらどんなに元気な姿で現れるだろうと、ワクワクしながらその時を待っていました。
雪がほとんどなくなった翌朝、ガーン、そこに広がっていたのはマルチに穴が開いているだけの信じられない光景。
IMG_4977.JPG
もうガッカリというか、虚しいというか・・・。
確かに育っていたはずなのに、もしかしたら根っこは残っているかもしれないと思い、何個か穴から手で探ってみましたが何も手ごたえはありません。
あんなにたくさんの苗たちが1個も残らずいったいどこへ行ったというのでしょう。
おじさんが来たので、「おじさん、秋に植えた玉ねぎが雪が解けてみたら1本も姿かたちが無くなっていたのよ。」と言うと、「そんなことあるのかなあ。おおかた育つはずなんだけど。何か鳥でも食べたのかなあ。」と不思議がります。
本当に不思議なことがあるもんだ。とにもかくにも今回は失敗です。
あ~、80個の玉ねぎが収穫できるはずだったのに残念!
今年の秋はもっと研究して必ず成功させます!

«只見の復興はこれから